こんにちは。物語音楽ユニット・Eternal Operettaの桜音ふうです。
皆さんは「同人音楽」という言葉は聞いたことはありますか?
全く知らない、聞いたことはあるけど、どんな音楽なのかはよく分からない、という人も多いと思います。
小説や漫画の「同人誌」というものをご存知の方もいると思いますが、同人音楽は簡単に言うと、「同人誌の音楽版」です。
同人音楽には、曲自体を楽しむのはもちろんですが、1つの創作物としてたくさんの魅力が秘められています。
同人音楽の魅力について知ることができれば、新たな趣味の発見・楽しみ方を見つけられます。
この記事では、同人音楽というものは何か、その魅力について解説します。
同人音楽の魅力
同人音楽とは、「同好の士と自費制作した音楽」のことです。
同人音楽を制作している人々は、一般的なミュージシャンとは異なります。
音楽事務所に所属せず、趣味や日常の延長として音楽を制作し、自らファンに音楽を届けているからです。
例えば、同人音楽を制作している人は、平日は学生・社会人として過ごし、週末になると音楽活動をしている人がほとんどです。
実際に私は、会社員をしながら音楽制作をしています。定期的に開催される同人イベントに参加し、それに向けて創作活動をしています。作品は全て自分たちで作り上げ、制作費も全て自費でまかなっています。
また、一般的なレコードショップで販売されているような、メジャーやインディーズのCDとは違い、音源の流通形式が異なります。同人音楽は、イベント会場や同人ショップなど閉鎖的空間で楽しまれている音楽です。
近年では、動画サイトなどインターネットの普及により、多くの人に認知されやすくなりました。
店舗に行けば、メジャーのCDがたくさんあるのに、わざわざ同人音楽を聴く必要があるのか?と思う方もいるかもしれません。しかし、同人音楽だからこそできること、メジャーには真似できない部分はあります。
メジャーな商業音楽では、例えば「特典は予算の兼ね合いも考慮してあれにしよう」、「とりあえずアイドルか女優に歌わせよう」、「売れているユニットをコラボさせよう」など、経済的な効率のため打算的な作り方をするものが多いように感じます。
もちろん、商業音楽の全てが、作品に対して愛情を欠いたものではないと思います。ただ、同人音楽は、利益よりも自らが表現したい音楽を、好きなだけ追い求めて創作されていることがほとんどです。
このように、同人音楽は制作者の作品に対する思い入れが強いため、新鮮さと輝きを感じることができるでしょう。
誰もが気軽に、好きなように表現できる
同人音楽は、メジャーな音楽にはない独特な魅力があります。
それは、誰もが気軽に、作りたい音楽を好きなように表現できることです。
なぜなら、個人が主体となって創作するため、とても自由度が高いからです。
同人音楽とは、同じ趣味の人同士が集まって作った、自主制作・創作音楽のことです。Webで作品を公開したり、CDを制作して即売会で頒布したりします。
同人音楽を創作するには、多大な労力と時間が掛かります。また、創作愛や作品に対する強い思い入れが必要になります。
例えば、私は30枚のCDを全て手作りで、イベントで頒布したことがあります。
作曲、作詞、レコーディング、編曲したりと、音源は自ら制作します。また、ジャケットやレーベルのデザインの考案、イラストの作成・印刷、梱包なども一貫して行います。
一枚のCDを創るのに数ヶ月ほど掛かるので、コストパフォーマンスが悪いのは明らかです。特に、個人やユニットで活動するとなると、ほぼ自力で作り上げなければなりません。
もちろん一部を外注して負担を軽減することも可能です。それでも、敢えて自主制作にこだわっているサークルもいます。
同人音楽を創作する一番の目的は、自分の作品を他者に知ってもらい、認めてもらうことです。
利益よりも、自由に好きなだけ時間と手間をかけ、愛情を持って創り上げているアーティストがほとんどです。そして、私も「自分の作った音楽を聴いてもらいたい」、「創作自体を楽しむ」といったスタンスで活動しています。
したがって、同人音楽は、アーティスト自身が、手間をかけて作り上げた作品であり、こだわりが素直に表現されているからこそ、独特な魅力を感じることができるのです。
多様なジャンルと特徴がある
同人音楽は、完全創作の「オリジナル曲」と、既存の曲を編集した二次創作の「アレンジ曲」に大きく分けられます。
既存の曲を再演奏したカバー曲、アニメやゲームの作品・キャラクターをモチーフとしたイメージソングは二次創作にあたります。
同人音楽は、自分の好みに合った音楽を見つけることが可能です。
なぜなら、世間受けは気にしないので、ジャンル問わず、個性豊かに表現されている作品が多いからです。風変わりな曲調やストーリー、珍しい楽器を使用しているなど、作品の傾向が独特です。
CDジャケットに関しても、そのアルバムの世界観に沿ったイラストで表現されていることも多いです。特に、全体を通して可愛い女の子のイラストが多く見られます。アニメやゲーム、漫画など、オタク系文化に関する作品が多く見られるのも特徴です。
同人音楽は主に、物語音楽、ケルトなどの民族音楽、アニソン系、ボーカロイド、テクノ、メタル、フュージョンでおよそ8割ほど占めていると言われています。
一般的な商業音楽のヒットソングではあまり見かけることのないジャンルです。
例えば、私のユニットでは物語音楽を創作しています。ただ、一概に物語音楽と言っても、それをテーマに創作しているサークルはたくさんあります。しかし、サークルによって曲調や物語の内容などがそれぞれ少しずつ異なるため、一つのジャンルでも、アーティスト次第で個性豊かで多様に表現されることも魅力です。
また、アレンジ曲に関しても、ピアノ演奏、オーケストラ演奏、ロック風、アコースティック風など様々です。同じ楽曲でも使用する楽器やアレンジ方法によって全く印象が異なる作品が生まれます。
このように、同人音楽は、アーティストによって様々なジャンルや形で表現されるため、必ず自分の好みの音楽と出会うことができるでしょう。
クオリティが高い
同人音楽はアマチュアだから、手作りだからと言って、クオリティが低いわけではありません。
プロ並み〜駆け出しの素人まで様々なアーティストがいるので一概には言えませんが、ほぼ商業製品と変わらないような完成度の作品が多く見受けられます。むしろ、ジャケットなど工夫が凝らされていて驚くような作品も多くあります。
同人音楽のCDジャケットは、写真やデザインよりも、イラスト担当のメンバーが居て描いてもらう・依頼して描いてもらうことがほとんどです。
音楽の世界観を表現するために、ジャケットやCD盤面のデザインやクオリティにこだわるアーティストも多いのです。
そして、イベントで販売することが多い同人音楽は、第一印象も大切なので、ジャケットはCDを選ぶ上で大きな助けになります。
プロのイラストレーターに依頼すると素晴らしいデザインに仕上がるのはもちろんですが、プロでなくても絵が上手い方は多いです。また、アーティスト自身が描いていたりすることもあるので、ファンとしては嬉しいことです。
また、曲自体の完成度も高いものが多く、一般的に売られているCDと音質に大差ありません。
音質は、レコーディング環境・機材、編集技術に大きく依存します。業者に依頼してレコーディングしてもらえば、音質の心配はほぼありません。
しかし、スタジオや宅録など自分達でレコーディング・編集しているサークルも多く見受けられます。
最近では、作曲・編集ソフトの性能が良くなっていることもあるため、そこそこ良好な環境や機材を使用すれば、制作音質の差はそこまで気にならない程度です。
もちろん、サークルによってはアマチュアでも技術力の高い方、未熟な方など様々ですが、新譜を出すたびクオリティが良くなっていくことがほとんどです。
実際に私のユニットは、自分たちでレコーディングしています。一番初めに出したCDよりも、二回目に制作したCDの方が、音質や歌唱力が納得いくものになっています。CD制作を重ねていくうちに、技術が上達していることを実感できます。
このように、同人音楽は商業製品並みの完成度に加え、特有の手作り感も兼ね備えた魅力的な作品が殆どです。
作り手と聞き手が繋がれる
一部の同人音楽は、アニメイト、とらのあな、といった店舗で販売されていることがありますが、品数が多くはありません。BOOTHというインターネット通販で、CDあるいは音源をDL形式で購入することも可能です。
しかし、一番のおすすめは、同人音楽の販売が活発に行われている即売会のようなイベントに足を運んでみることです。
なぜなら、アーティストとファンが直接触れ合えること、同じ趣味や志を持った仲間と出逢えるからです。また、時には会場でしか購入できない限定のCDもあります。
特に同人イベント作品は、一期一会な場合が多く、再び出会えないこともあります。活動が不安定な小規模のサークルによく見られます。
通りすがりにいいなと思った作品は後悔しないためにも購入しておいた方が良いでしょう。
定期的な同人イベントは、夏・冬に開催の「コミックマーケット」や、春・秋に開催の「M3(えむすりー)」が主です。
特に、M3は音楽系オンリーのイベントなので、コミックマーケットよりも混雑しておらず、初めてイベントに参加される方にはちょうど良いと思います。
実際に私は、イベントに買い手側として参加していましたが、創作の素晴らしさを肌で感じていくうちに、自分もやってみたいと思うようになりました。
少し大げさに聞こえるかもしれませんが、音楽創作活動を始めたいと、心を動かされたきっかけです。
アーティストと直接交流できる
イベントでは、サークル側は「作品を直接手渡す」ことができ、参加者側は「好きなアーティストから直接買う」ことができるのが、最大の魅力です。
そのため、状況によっては憧れのアーティストと直接お話することができます。また、差し入れやファンレターも直接渡すことが可能です。
参加アーティストは、音楽を趣味としている人から、アイドル、声優、ボカロP、大学のサークルなど様々です。
実際に私は、イベントの度、好きなアーティストのスペースに伺っているうちに、顔を覚えてくれるようになりました。ファンとしてはとても嬉しいことです。
このように、商業音楽よりも遥かにアーティストとファンの距離が近いことがイベントの醍醐味と言えます。
楽しみを共有できる仲間がいる、集まる場がある
同人音楽が好きで良かったと実感できるのは、即売会というイベントに参加したときです。
同人音楽は世間一般から見たら、マイナーな音楽かもしれません。実際に、学校や職場で同人音楽を知っている、という人はあまりいないと思います。
実際に私の周りでも、同人音楽を知らなかったり、好きだという人は少なかったです。
しかし、好きなアーティストが共通な方と、イベントで知り合ったことがあります。共有点があるだけに、すぐに仲良くなれました。なかなか自分の好きな音楽を語って、お互い盛り上がれることがなかったので、とても楽しく新鮮でした。
好きなものを共感してくれたり、楽しく語り合えたりする人がいれば、嬉しいですよね。
特に、周りで知っている人がおらず、マイナーなジャンルほど、好きなアーティストを知っているだけで嬉しくなったり、「やっと同士を見つけた!」という喜びが大きいはずです。
イベントは、好きなアーティストのCDを買うだけでなく、同じ趣向の仲間と出会える絶好の機会なのです。
このように、同人音楽などのニッチな分野のイベントは、共通の趣味や志を持った方々がほとんどであるため、新たな出逢いや発見があります。
まとめ
ここまで、同人音楽とは何か、その魅力について解説してきました。
・誰もが気軽に、好きなように表現できる
・多様なジャンルや特徴がある
・クオリティが高い
・アーティストと直接交流できる
・楽しみを共有できる仲間がいる、集まる場がある
同人音楽の魅力について知ることができれば、新たな趣味の発見・楽しみ方を見つけられるでしょう。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。